株主の皆様方には、平素より格別のご高配を賜り厚くお礼申しあげます。
ここに、第56期(2024年3月期)の営業の概況をご報告申しあげます。
よろしくご高覧賜りますようお願い申しあげます。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善、各種政策の効果などもあり、景気は緩やかな回復基調が続きました。一方、地政学リスクによる経済への影響、エネルギー価格・原材料価格の上昇など、先行きは不透明な状況が続いております。
設備工事業界においては、公共投資は堅調に推移し、民間設備投資は持ち直しの動きがみられましたが、物価上昇や国際情勢により先行きが不透明な状況等があり、受注・価格競争は厳しい状況で推移しております。
このような状況下で、当社グループはお客様のニーズに合った設備の提案を積極的に行い、受注の確保・拡大に努めてまいりました。設備工事事業におきまして、当社グループの主要顧客である化学業界において半導体関連の大型プラント建設工事、EV材関連設備工事、設備改修工事、脱炭素対応に向けた設備工事、また、定期修繕工事等を中心とした受注があり、前期を上回る受注高となりました。タイ国の表面処理事業は、HDD向け表面処理は新規顧客の獲得などがあり、持ち直しの動きがありました。また、自動車部品向けの表面処理は総じて横ばいの状況のなか、EV用の需要は堅調であり、表面処理事業全体では前期を上回りました。売上高は、懸念されていた工事資材の納期長期化や物資不足などの影響は想定より少なく、大型案件をはじめとした工事の進捗は想定以上に順調に推移し、前期を上回る結果となりました。
利益面につきましては、売上高は増加しましたが、設備工事事業における複数件の工事において、市場環境の変化による資材費、労務費などの上昇を吸収できず低収益化したこと、大型工事案件の一部に工事損失及び工事損失引当金を計上したことなどから、売上総利益率は低下しました。また、ESGへの取組などの諸施策による販売費及び一般管理費の増加がありましたが、増収効果などにより、営業利益、経常利益は前期を若干下回りました。また、当連結会計年度及び今後の業績動向等を勘案し、繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、法人税等調整額を計上しました。これにより親会社株主に帰属する当期純利益は前期を上回る結果となりました。
今後の見通しにつきましては、物価高や金融引き締めに伴う景気減速懸念に加え、地政学リスクによる経済への影響など、依然として不透明な状況が想定されます。
このような状況下、当社グループの事業においても、労務情勢の変化や物価高騰、供給面での制約等を注視しつつ事業展開する必要がありますが、企業として持続的に成長するためには、競争力の維持・強化は勿論のこと、環境問題や社会問題に配慮したサステナブルな経営活動を行うことが必要不可欠であり、次の諸施策を推進することにより、「モノづくりを通じて、サステナブル社会の実現を目指す」企業グループを目指してまいります。
①EPC事業の進化。
②国内拠点の体制強化を図る。(大牟田、中京、関西)
③海外子会社の業績改善を図る。(ビジネスモデルの再構築、安定的な商流の確立)
④自動化・省力化ニーズに対し、当社独自の技術と各メーカーとの技術融合による、高付加価値の装置・システムの確立を図る。
⑤ものづくりの最先端技術へ積極的なアプローチを図る。(半導体素材、EV材料、カーボンニュートラル等)
⑥DXの推進(設計・施工管理のデジタル化、情報セキュリティの強化)
⑦重要課題(マテリアリティ)の解決に向けたESG経営の推進。
株主の皆様におかれましては、今後とも変わらぬご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
2024年6月